小山研について
生きている限り、時間から逃れることはできません。時間を捕まえることもできないでしょう。捉えどころがないにもかかわらず、生き物の宿命として関わり続ける『時間』、形態統御学分科ではその時間の謎を追っています。
捉えどころのない時間を意識する方法の一つは時計を持つことです。生き物はヒトでなくても一日を刻む概日時計を持っています。それも、一つ一つの細胞が持っています。細胞の集まりである組織、器官、個体全体は時計の集合体とみなせます。社会の中で時計をもつたった一人になったと想像すると、空恐ろしい孤独が襲ってきそうです。時計はみんなでもってこそ真の力を発揮することができます。ただし、お互いの時計の時刻が揃っていなければ、社会は一層ギスギス感を増すことになります。他人の時計がどれくらいズレたら、あなたはキレますか?自分の時計のズレはどれくらい許せますか?他人の時計の時刻をどうやって知りますか?あなたは自分の時計の時刻を信じることができますか?これらの疑問で浮かび上がる問題点は、時計の集合体である生き物でもきっと生じているはずです。
このような細胞と個体の時計のつながりを調べるために、ウキクサという小さく身近な植物を材料に『時間』の発光イメージングを行い、『時間』のつながりに注目して研究を進めています。また、時計の正体が明確になったシアノバクテリアを材料にして、時計の成り立ちについて研究を進めています。
時間に興味のある人、時計に興味のある人、植物の一日に興味のある人は是非声をかけてください。
2016年4月
小山時隆
石垣島にてアオウキクサを発見 2015.04.30
小山研を志望する人へ
これから研究室に所属するメンバーの人には時間生物学の分野を新たに開拓して欲しいと期待しています。時間生物学に関する専門知識は研究室で学べばいいのですが、基本的な生物知識、論文を読む英語力は学部生の間に身につけて欲しいです。研究室内では物理学や数学的な議論を進める場合もありますが、これも研究室で学べます。ただし、数式を頭ごなしに毛嫌いしない柔軟性が欲しいところです。研究テーマは本人の希望に私のアイデアを交えながら決めることになります。常に自分の意見を持ち、主張できる力を養ってください。
また、研究を進めていくなかでは、実験材料(生き物)の視点に立った発想を心がけています。生き物の時間に取り組む中で、『生きているとは?』という素朴な疑問へと考えを広げていければ、あなたのしてきた研究が身についてきたと言えるかもしれません。
将来どのような分野に進むにしても、研究面を含めて学生生活が充実したものになるようにサポートします。
興味のあるひとは気軽に連絡してきてください。
2016年4月
小山時隆
連絡先:oyama(at)cosmos.bot.kyoto-u.ac.jp
*研究室見学も随時受け付けています
大学院入試情報はこちら >> 修士課程入学試験 博士後期課程編入試験
2011年6月11日 京大北部構内圃場にて撮影(ウキクサの視点に立って)